農業用語辞典

化成肥料とは?
有機質肥料との違いやメリット、
注意点について解説

肥料は大きく分けて、化学肥料(無機質肥料)と有機質肥料の2種類がある。ここでは、化学肥料の一つ「化成肥料」についてその定義や使用する上でのメリット、使用上の注意点について解説する。

化成肥料とは?

「化学肥料」と「化成肥料」は混同されがちである。化学的に合成して作られる肥料が「化学肥料」で、そのなかで、窒素、リン酸、カリのうち2成分以上を含む物が「複合肥料」と呼ばれる。さらに、複合肥料のなかでも、別々の肥料を単に配合するのではなく、2種類以上の肥料に化学的な工程を加えて、形状、肥効期間をコントロールするための加工を施したものが「化成肥料」である。

化成肥料は、3要素(窒素、リン酸、カリ)の合計により、15〜30%だと「普通化成肥料」、30%以上だと「高度化成肥料」と分類される。化学的な工程により、粉末やペレット状、液肥などのさまざまな形態がある。また、被覆加工による溶出速度の違いによって「緩効性肥料」「遅効性肥料」「速効性肥料」と呼ばれる、さまざまな性質の肥料が存在する。

化成肥料と有機質肥料との違い

化成肥料と有機質肥料の違いは原料である。化成肥料は、無機物を原料とし、化学的に生成された肥料である。対して有機質肥料は、動物や植物などの有機物から生成された肥料である。
有機質肥料は、化成肥料に比べ速効性は低いが、効果が長く持続するのが特徴である。土壌改良効果も兼ね備えている。

化成肥料を使う上でのメリット

化成肥料のメリットは以下の通り。

  • 植物の生育に欠かせない3要素が、バランス良く定められた量できちんと含まれている。また、粒の形や大きさが均一で成分も同じであるため、施肥量を管理しやすく、ムラなく散布できる
  • 野菜用や花用などそれぞれの植物に適した配合が用意されており、初めての植物を栽培する場合でも安心して扱える
  • 工場で大量生産されるため、有機質肥料と比べて比較的安価で手に入りやすい
  • 有機質肥料と違って、においやガスの発生が少ない

化成肥料を使う際の注意点

有機質肥料に比べると成分量が高く速効性があるため、植物の生育に与える影響も早い。そのため、過剰施肥につながる恐れがあるので、使用する際は注意が必要である。過剰施肥によって植物に生じる影響は以下の通りである。

  • 肥料やけによる根痛みが起こる恐れがある。特に、速効性の化成肥料を一度に多くまくと、土壌中の肥料濃度が高まり、浸透圧の関係で作物中の水分が土壌に流れ出して根を痛める原因となる。肥料やけを防止するためには、適量を施さなければならない。
  • 化成肥料だけを与え続けると有機物が不足する。微生物のエサとなる有機物が不足すると土壌中の微生物が減り、特定の病原菌や病害虫が発生しやすい土壌環境となってしまう。そのため、化成肥料だけでなく、有機質肥料や堆肥を利用して土壌の有機物を補充することも大切である。

まとめ

化成肥料は化学肥料の一つで無機物を原料とした肥料であり、植物の生育に欠かせない3要素が、バランス良く定められた量で含まれているため、施肥量を管理しやすい。また、植物の種類に応じた配合も用意されており、初心者でも扱いやすいメリットがある。しかし、使用量や使用方法を誤ると、植物の病気発生の原因となったり、肥料やけが起こる可能性があるため注意しなければならない。

このページのトップへ